フランチャイズ契約締結時に注意すべきこと

 こんにちは。行政書士ポラリス法務事務所の北原です。

 気付けば11月も半ば。立冬を迎えて、また一歩季節が冬に近づきましたね。週末に栃木を訪れたのですが、朝晩は一段と冷え込み、紅葉ももう終わりという感じでした。

 例年であれば、これからの季節はクリスマスとお正月という行事を控え、楽しいはずのシーズンですが、このところ再びコロナの感染者数が急増し、例年通りに楽しむということは難しそうです。いつもとは違う冬ですが、感染症予防をしながら、できる範囲で季節を楽しみたいですね。

 さて、今日は、久々に契約に関するお話を少ししたいと思います。「フランチャイズ契約」について。

フランチャイズ契約とは

 フランチャイズ契約は、フランチャイズ本部(以下、「フランチャイザー」といいます。)とフランチャイズへの加盟店(以下、「フランチャイジー」といいます。)が締結する契約です。契約内容としては、フランチャイザーがその商標(ロゴ等)や商号の使用・運営ノウハウ等の教育等をフランチャイジーに許可・提供し、その対価として、フランチャイジーはフランチャイザーに加盟金やロイヤリティを支払う、というものです。例えば、コンビニ、飲食店、ガソリンスタンド等といったチェーン展開をしている業態において多く見られます。

 フランチャイズ契約は、契約当事者の立場やその性質から、通常、フランチャイザー側に有利な内容に作られています。したがって、契約後に実際の運営が始まると、運営がうまくいっても、また、そうでなくとも、フランチャイジーが契約内容によって何らかの経済的負担や経営における制約を強いられる場面が出てくることになります。

 フランチャイジー候補者は、早期に契約を交わして営業を開始したいので、どうしても契約時には契約内容にかかわらず、フランチャイザーから求められるままに契約書に署名押印してしまいがちです。しかし、この契約からは、次のような問題が生じるおそれがあるので、見ていきましょう。

フランチャイズ契約でよくある問題

 少し前に大手コンビニチェーン本部と加盟店との間における、24時間営業強要による過重労働・賞味期限切れ商品の割引禁止・高額なロイヤリティの負担等を巡る問題が明るみに出ました。

 このコンビニチェーンの事例から明らかになったフランチャイズ契約における問題は一例に過ぎず、その他にも以下のような問題が生じるおそれがあります。

  • 高額なロイヤリティの請求
  • 高額な違約金の請求
  • 更新料その他の名目における想定外の費用の請求
  • 過度に長期に渡る契約期間
  • 競業避止義務・秘密保持義務による契約解約後の同業種での営業の制約
  • 本部からの説明・サポート不足

 以上に挙げた例の他にも、業態によってはさらに別の問題が生じることもあります。

 こうした問題は、オーナーであるフランチャイジー側からすれば、まったくもってひどい話のように思われます。しかし、実は、こうした問題の多くは、当初交わしたフランチャイズ契約に明記されていた契約条件に起因するものであって、契約後に後出し的にフランチャイザー側が出された条件によるものでないことが多いのです。つまり、フランチャイジー自身も、一度は、この契約内容でよいと判断して、自ら合意した契約条件が将来のトラブルの原因となっていることがほとんどなのです。

 もちろん、こうした一方的な契約条件を、立場が弱く選択肢の少ないフランチャイジー候補者に押し付けるフランチャイザー側の姿勢に問題はあります。しかし、こうした一方当事者に有利な契約であっても、両当事者が合意して有効に成立した以上は、それが強行法規に反していない限りは、合法的な決まり事になってしまいます。

 したがって、フランチャイジー側も、やはり多額な加盟金やロイヤリティを投資する以上、契約前に、その契約条件に十分に注意を払う必要があります。

フランチャイズ契約時に注意すべき契約条項

 では、以上を踏まえ、契約の際にフランチャイジーが注意してチェックすべき契約条項は何か、具体的にみていきましょう。

 フランチャイズ契約において、一般的に注意すべき契約条項は、以下の通りです。

  • 加盟金の金額
  • ロイヤリティの仕組み・割合
  • 教育費、システム使用料その他の本部に支払う費用
  • 本部から受けられるサポート等の内容
  • 違約金条項
  • 損害賠償条項
  • 契約期間
  • 更新料
  • 中途解約の条件
  • 競業避止義務
  • 秘密保持義務

 以上の他にも、業態により、様々な契約上の義務や制約が想定されます。

 契約前には、契約中で以上の項目を定めた契約条項の内容をよく確認し、その契約条項によれば、経営が万一うまくいかない場合でも本部に定期的に費用を支払いつつ続けていけるのか(=売上見込とロイヤリティの計算方法等。売上げが少なくとも一定額が持っていかれるのか、売上げがある場合にのみ割合に応じて支払義務が発生するのか。)、また、うまくいってフランチャイズ契約からの離脱を考える場合にはどうなるのか(=どれだけの違約金・解約金等の支払義務や競業避止義務等を負うことになるのか、離脱はそもそも可能なのか。)…といったいくつかのケースを想定しておくことが必要です。

 契約は、一度締結すると、容易には変更することができないもの。ですので、まずは、契約前に、しっかりとその内容を精査し、様々な場面を想定した上で、契約条項がご自身にもたらすメリット・デメリットを総合的に考慮し、本当に締結すべき契約であるか等の判断をすることが非常に大切です。

 弊所では、契約締結前のリーガルチェックを承っております。このまま契約してしまって大丈夫かな…そんなご不安がある際には、どうぞお気軽にご相談ください。

行政書士ポラリス法務事務所

代表 北原 絢子