ご存知ですか?成年後見制度利用における「後見人報酬の助成制度」

 こんにちは。行政書士ポラリス法務事務所の北原です。

 先週は大分暖かい日が続いていましたが、昨日からぐっと気温が下がり、季節本来の寒さが戻ってきました。こうも急激な温度変化があると、身体はついていけなくなりがちですね。体調を崩さないよう、暖かくして過ごしたいですね。

 さて、今日は、少し成年後見制度に関連するお話をしたいと思います。

認知症と成年後見制度

 年齢を経れば、多くの方がご不安に思われるのが、認知症です。認知症は、歳を取れば誰でも発症し得る病気で、決して特別な人だけがかかる病気ではありません。「人生100年時代」などと言われるほど平均寿命が延びたわが国では、いまや65歳以上の5人に1人が認知症を発症するとも言われています。

 万一、認知症を発症した場合には、ご自身でのお金の管理が難しくなったり、また、介護サービスなどが必要になることもあるでしょう。成年後見制度は、認知症などにより判断能力が低下した場合に、ご家族又は専門家等に後見人に就いてもらい、財産の管理や医療・福祉・介護等のサービスを受けるためのサポートを受けられる制度です。

 成年後見には、判断能力が落ちてから申立てによって始まる法定後見と、判断能力が十分なうちから信頼できる第三者を後見人と定めて契約しておく任意後見の2種類がありますが、今回は法定後見についてみていきます(※法定後見と任意後見に関する説明とその相違点については、こちらをご参照ください)。

後見制度について指摘される「使いづらさ」

 後見制度については、従前より、いくつかの理由によって、使いづらいという指摘がされています。そして、その理由の一つが、家族以外の専門家が後見人に就いた場合に毎月継続的に発生する、「報酬」の負担です。

 専門職後見人への報酬額は、後見人ご本人の資産状況等によっても異なりますが、およそ月2~4万円程度です。年間にすれば、24万円~、これが10年間続けば240万円~と、年金以外の収入がなくなった後では決して少なくない額です。ましてや、いつまで続くか分からない今後の生活の間ずっと…ということになれば、そのご不安や、いかばかりかと思われます。

 しかし、判断能力が不十分な状態でご自身での財産管理を続ることでご本人が取返しのつかない不利益を被ったり、また、判断能力が不十分な状態では医療・福祉等のサービスを受けるための契約が交わせず、必要なサービスが受けられない恐れがあります。

自治体による後見人報酬の助成制度

 そこで、資力が十分でない場合であっても専門職後見人を就けられるよう、国や都では、後見人報酬を助成する制度が設けられています。

 当初は、この助成制度も、それを運用する自治体により、首長申立て(:親族等の申立権者がいない場合等に、市区町村長が代わって後見開始の申立てを行うこと。)や生活保護受給者といった制限が設けられているところも多かったのですが、現在は少しずつ条件が緩和されてきているようです。

 なお、令和2年11月末現在、墨田区では、区による報酬助成の対象は、区長申立ての場合で、かつ、資力のない方に未だ限定されています。しかし、社会福祉協議会によって、その要件はやや緩和され、対象は少し拡張されています。

 各自治体によって助成制度の有無や対象等は異なり、また、各社会福祉協議会による制度の拡充などがある可能性もありますので、詳しくは、お住まいの自治体や社会福祉協議会のホームページなどをご確認ください。

 成年後見に関してご不明な点等がございましたら、弊所までお気軽にご相談ください。

行政書士ポラリス法務事務所

代表・成年後見センターヒルフェ会員 北原 絢子