フリーランスが契約書なしで仕事を請けることは、「無保険で車に乗るようなもの」 です。順調に走っている間は気付かなくとも、万一事故(トラブル)に遭った時にその損害をあなた自身がすべて被ることになります。“起きてから”では遅い。契約書は保険であり、盾であり、あなたの事業とあなた自身を守る最強の武器になります。
契約書なしで仕事を請ける危険性
契約書を交わさずに仕事を請け負うことは、債務不履行、無償対応、報酬不払い、そして、責任の押し付け合いなどのリスクを自ら高めることになります。
1. 報酬未払いが起きても請求の根拠が弱い
契約書がないと、業務終了後になってクライアントから「そんな金額で依頼した覚えはない。」とか、「成果物がこちらの思った通りではないから払わない。」 などといった主張をされても、契約内容の根拠書類がないために反論が難しくなります。
仮にメールやチャットなどで契約内容の一部をやり取りしていたとしても、それだけでは、契約内容の全体像を証明するには弱いことがほとんどです。
現に、報酬不払いトラブルの多くは、契約書を交わしていなかったケースが多いとされています。こうしたトラブルを避けるためにも、契約書上で報酬金額や成果物の内容・範囲を明確に定めることが肝要です。
2. 際限のない無償対応
契約書がないと、納品してホッとしたのもつかの間、クライアントからこう切り出されるおそれがあります。
- 「ここもやってくれると思っていた。」
- 「追加料金?そんな話は聞いていない。」
- 「修正対応は無制限でしょ?」
あなたは「そんなはずでは…」と思っても、書面で業務の範囲を明確にしていなければ、言った・言わないの水掛け論に発展する恐れもあります。
契約書で予め業務範囲、納期、修正回数、追加料金の有無等を明確にして、納品後の無制限の無償対応で疲弊することのないようにしましょう。
3. 著作権トラブル
業務の結果として生み出されるデザイン、文章、プログラムなどといった成果物は著作物にあたるため、誰にその権利を帰属させるかを明確にしておかないと後々トラブルになるおそれがあります。
すなわち、報酬を払うクライアントとしては「著作権は全部うちのものだ。」と主張し、他方、成果物を制作した受託者側としては「著作権は著作者である自分のものだ。」と主張することが想定され、こうした争いは実際に多く発生しています(その結果、取引上の力関係で弱い受託者のほうが折れざるを得ないケースもまた多くあります)。
この点についても、予め契約書上で著作権の帰属を明記しておけば、後からそれをめぐってトラブルになるリスクを低減できます。
4. 損害賠償リスクが跳ね上がる
契約書がないと、責任の範囲や所在が不明確なままに仕事が進みます。
例えば、以下のような場合に、その責任は誰が・どの程度負うことになるのでしょうか?
- 納品物に不具合が出た
- クライアントの売上が下がった
- サイトがダウンした
こうしたときにも、契約書上で責任に関する定めを置いておかないと、「受託者であるあなたのせいだから、損害を賠償してくれ。」 と言われるおそれがあります。
契約書には、不可抗力条項、免責条項、そして、損害賠償条項などを入れて、無制限の責任を負わされるリスクを回避するように心がけましょう。
結論:契約書は“攻め”のビジネスツール
契約書は「トラブルを避けるための防御」だけではありません。契約書をうまく使えば、以下のように契約条件をコントロールすることも可能になります。
- 追加料金を明確にできる
- 修正回数を制限できる
- 著作権の帰属をコントロールできる
- 報酬の支払条件を有利にできる
つまり、契約書はフリーランスが収益を最大化するための武器にもなりうるのです。
■契約書を作るべきタイミング
- 初めてのクライアント
- 金額が大きい案件
- 長期契約
- 業務範囲が広い案件
- 著作物が絡む案件
こうした場合には必ず 契約書の作成 をするべきです。
まとめ:契約書なしで仕事を請けるのはあまりに無防備
フリーランスにとって契約書は、 「自分とその事業を守るための最低限の保険」です。
- 報酬未払い
- 業務範囲の拡大
- 著作権トラブル
- 無制限の損害賠償
こうしたリスクは契約書ひとつで大幅に低減することも可能です。
契約書の作成・チェックは専門家にお任せください
契約書は、業務や成果物の種類や内容によって必要な条項が大きく異なります。「ネットのテンプレートをそのまま転用したらトラブルになった」という相談も少なくありません。
弊所では、 業務内容・取引先の状況・成果物の内容などといった個々のご依頼者様に合わせたオーダーメイドの契約書作成 を行っています。契約書の作成・レビューにお悩みの方は、どうぞお気軽にお声がけください。