「副業」を始める際に確認したい注意点

 こんにちは。行政書士ポラリス法務事務所の北原です。

 昨年から続く新型感染症の陽性者数が、とどまるところを知らないかのように増加を続けていますね。年明け早々に一都三県に緊急事態宣言が出され、飲食店等に営業時短要請が出されたこともあって、夜の街は大分静かになってしまったようです。時短営業に協力すれば協力金が出るようですが、事業の規模によっては、それだけでは厳しい事業者さんも多く、影響が心配されるところです。

 こうして感染症の影響が長引き、業績が悪化するなかで、従業員に副業を認める企業もちらほらみられるようになってきたようです。実際に、この流れに乗って副業を始めたという方も、少なからずいらっしゃるように思います。

 そこで、今回は、副業する際に気を付けたいことについて、少しまとめてみたいと思います。

①就業規則等の確認

 既にご存知の方も多いかとは思いますが、副業をする場合にまず注意しなくてはならないのが、就業中の会社の「就業規則」で副業が禁止されていないこと、です。

 就業規則における各禁止事項は、しばしば就業規則の後ろのほうに規定されている「賞罰」に関する規定と相俟って、解雇や懲戒等の処分が課される場合があるため、そちらも併せて確認する必要があります。就業規則上、会社への届出や許可が求められている場合には、必ず事前に必要な手続きを踏んでおきましょう。

 また、当然のことながら、本業と競合するような副業や、法律や公序良俗に反するような副業、そして、本業の遂行に悪影響を及ぼすような働き方となるような副業は、避ける必要があります。

②副業先での就業形態と労働基準法の関係

 副業を業務委託等で行う場合には(副業には労働基準法が適用されないため、)特段の問題はありませんが、副業先とも雇用契約を結ぶ場合には、労働基準法上、本業と副業の労働時間は通算されることとなり、36協定に関連していずれかの会社において割増賃金の支払いが必要となる恐れがあります。

 こちらも、知らずに副業の会社と雇用契約を交わしてしまうと、後々になって本業の会社とトラブルになる恐れがあるため、副業先との契約形態を雇用契約にはしない、などの事前の対策が必要です。

③副業先との契約内容の確認

 副業先との契約が業務委託契約である場合、その業務が、「(準)委任」契約であるか、又は、「請負」契約であるか、の見極めが重要です。

 業務委託契約の場合には、雇用契約とは異なり、1日〇時間…というような拘束時間はありませんが、それが「請負」契約の場合には、定められた期日までに定められた成果物を納品することが契約上の義務となります。したがって、期日を徒過した場合には債務不履行責任を負い、また、定められた基準を満たす成果物を納品できない場合には契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)を負うなど、損害賠償請求の対象となる恐れがあるため、特に注意が必要です。

④税金のこと

 副業からの収入は、本業のほうの年末調整に含めることはできないため、必要に応じて「ご自身で」確定申告を行う必要があります。また、副業先との契約形態もまた雇用契約である場合には、副業先での重ねての年末調整はできませんので、副業先にその旨を申し出ておかなければなりません。

 このように、副業をする場合には、仕事の他にも様々な事の管理や調整をご自身で行う必要があります。しかし、多様な働き方が認められ始めたこのタイミングに、本業で安定的な収入を得ながら、副業では自分らしい働き方を模索するというのも、一つの道かもしれませんね。

 業務委託契約などについて、お困りな事やご不安な事がございましたら、弊所までお気軽にご相談ください。

行政書士ポラリス法務事務所

代表行政書士・ファイナンシャルプランナー 北原 絢子