こんにちは、行政書士ポラリス法務事務所の北原です。
このところ、朝晩寒いくらいに涼しくなり、大分季節が進んできたように感じます。
先日、近所の向島百花園という公園へ、「萩のトンネル」を見に行ってきました。満開の萩がきれいで、少し幻想的なトンネルに、小旅行気分を楽しんできました。
さて、私は現在、専門職後見人として裁判所の後見人名簿に登載されるべく、とある成年後見団体の研修を受けています。専門職後見人を目指すことになった直接のきっかけは、このところ、いわゆる「おひとりさま」から将来についてのご相談を頂くことが増えたことですが、元を辿れば、交通事故で遷延性意識障害を負った兄弟が10年以上経過した今もなお意識の戻らない状態にあることがあります。
さて、タイトルのお話に戻りますが、障害のある子の親も、当然のことながら、時間の流れとともに高齢になり、そして、いずれは障害のある子を残して、先立つことになります。その時に最も懸念されることは、やはり、自分がいなくなった後の、障害のある子の将来についてでしょう。
この問題は、「親なきあと」問題と言われ、障がいのあるお子さんの親御さんであれば誰しもが直面されるお悩みです。
「親なきあと」問題は、大きく分けて、①お金のこと、②生活環境のこと、③日常的なケアをしてくれる制度のこと、の3つがあります。
まず、親御さんの多くがご心配されているであろう、①お金のこと、という大きな問題については、大きな額のお金を遺してあげることよりも、むしろ、お子さんに定期的にお金が入る「仕組み」と、入ったお金がお子さんの将来のために使われる「仕組み」の両方を作ることが大切、と言われています。この仕組み作りのためには、障害年金・確定拠出年金その他手当や家族信託の利用、そして、成年後見制度の利用等といった方法があります。障害のある子とその他のご家族にも配慮した遺言もまた、有効です。
次に、②生活環境も、「親なきあと」問題への対策の重要な一つですが、そのためには、障害者支援施設やグループホーム等の利用や、障害の程度によっては昼間は就労場所へ、ということも考えられます。
そして、③日常的なケアについても、施設を利用している場合にはその施設のスタッフによるケアが期待することができます。施設を利用していない場合であっても、障害者総合支援法等に基づく福祉サービスを積極的に利用して、様々な人に関わってもらい、また、行政や民生委員など地域全体における見守りがなされる体制を作りたいものです。
いずれにしても、障害のあるお子さんの存在が社会から認識されている限り、何らかの公的保障などを受けることは可能です。そのためには、「親なきあと」問題において、一番大切なことは、お子さんと地域社会との間でできるだけ多くの接点を持たせておくこと、と言えるでしょう。
まずは、ご家族が集まる機会をみつけて、将来のことをご家族と話し合ってみること。また、現在は親御さんだけが把握されている、障害のあるお子さんに関する情報を、引継ぎを考えて、ノートなどに書き出しておくこと。こういったことから少しずつ「親なきあと」問題と向き合っていけるといいですね。
行政書士ポラリス法務事務所
代表 北原 絢子
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