取引が決まった時に気を付けたいこと

 こんにちは、行政書士ポラリス法務事務所の北原です。

 お盆休み明けの一週間、休み明けの体に追い打ちをかけるような連日の猛暑で、しんどい思いをされた方も少なくないと思います。この暑さもあともう少し…ということで、何とか乗り切りたいですね。

 さて、今日は、契約法務のお話です。お取引が決まり、いよいよ契約…となった時に気を付けたいことについて、少し書いてみたいと思います。

契約上の立ち位置も、取引上の立場で決まる?

 御社には、各種契約書のフォーマットは揃っていますか?

 「この取引が決まったら、この契約書フォーマットを提示する」、という流れができていますか?

 長いことご商売をされていても、この質問に対して、諸手を挙げて「もちろんです。」と言える経営者さんはそう多くないかもしれません。

 一般に、買主側や注文者側のほうが、売主側や請負側よりも取引関係上強い立場にあるとされ、これは動かしがたい事実です。そして、こうした取引上の立場は、どう頑張っても変えることはできません。

 しかし、取引上の立場が弱いからといって、直ちに契約上の立ち位置まで諦めるのはまだ早いと考えます。なぜなら、契約関係上でいいポジションを取るための方法は、他にもあるからです。

 それは、いざ契約を締結しようとなったとき、「契約書フォーマットをこちらから先に提示する」、という方法です。

「契約書フォーマットをこちらから先に提示する」ことのメリット

 たまに頂くご相談に、取引は決まったが、相手方から「うちは契約書フォーマットがないんだけど…」と言われたのだがどうしたらよいか、というものがあります(※これは、契約相手方が上場企業さんの場合でも、ままある話です)。

 そんなときは、弊所からは、「では、契約書フォーマットを作成して、こちらから先に相手方に提示しましょう。」とご提案させていただいております。

 なぜならば、契約交渉の場面においては、「最初に提示された契約書フォーマットが契約交渉のベースとなる」からです。

 最初に提示する契約書フォーマットの各所に自社に有利な契約条件を織り込んでおけば、(相手方が回答として自社フォーマットとの差し替えを提案でもしてこない限り、)交渉の過程において、多少相手方の有利な方向に修正がなされたからといって、最終的に相手方に完全に有利な契約になることはほぼありません。

 もちろん、相手方との取引関係上、自社に完全に有利な契約条件の契約を提示することが適切でない場合もあります。しかし、その場合であっても、やや自社に有利又は公平な契約条件から契約交渉をスタートすることができれば、やはり上記と同じ結果となることが想定されます。

 反対に、相手方提示の契約書フォーマットをベースに契約交渉がスタートしてしまうと、自社がどんなに載せたい契約条件があったとしても、場合によっては、その希望を後から載せることが難しい場合もあります。もちろん、最初から相手方有利に作られている契約条件を、取引上弱い立場に立つ側が、後から自社有利な形に修正交渉することは容易なことではありません。

 これだけのメリットがあることからすれば、やはり、契約書フォーマットはできる限り自社側から先に提示するように心がけたいですね。

 弊所では、上場企業の法務部で契約交渉経験を積んだ行政書士が、契約交渉をスムーズに進める上でのアドバイスも含めて、契約書の作成・リーガルチェックをさせていただいております。

契約についてのご不明点などございましたら、お気軽にご相談ください。

行政書士ポラリス法務事務所

代表行政書士  北原 絢子


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