実家を相続するときに心配な「空き家」のお話

 こんにちは。行政書士ポラリス法務事務所の北原です。

 このところ急激に気温が下がり、すっかり鍋物が恋しくなる季節になりました。もう厚手のニットやコートを出して、暖房を入れるなど、すっかり冬支度が整ったお宅も多いかもしれませんね。

 さて、話は変わり、今月は行政書士の広報月間ということで、私も先日に区役所で開催された無料相談会に参加してきました。こうした相談会では、相続関連のご相談が最も多いのですが、相続に関連して「空き家」についてのご相談もまた散見されるところです。

 そこで、今日は、空き家の問題点と対策について、少し見ていきたいと思います。

空き家の問題点

 空き家を放置すると生じうる問題として考えられるのは、大きく以下の3つと言えます。

  1. 建物の老朽化による倒壊等の危険性
  2. 管理費その他の固定費の負担
  3. 周辺の住環境への悪影響

 1.については、建物が老朽化すると、壁面や屋根が落ちたり、台風で飛んだりする恐れがあり、最悪の場合には通行人に当たって怪我をさせる場合があります。万一、通行人に怪我を負わせてしまったような場合には、空き家の所有者は民法上の損害賠償責任を追及される可能性があります。

 2.については、空き家は放火などの対象になり易いため定期的な見回り等の管理費がかさむ上、空き家であっても固定資産税は年々支払い続けなくてはなりません。こうした固定費は、長期間に及べばかなりの負担になりかねないものです。加えて、空き家について定める「空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「特措法」といいます。)」によれば、「特定空家等」に指定された住宅の所有者が自治体から改善を求められたにもかかわらずこれに応じない場合には、行政代執行の対象となるばかりでなく、50万円以下の過料に処せられ、加えて、固定資産税の軽減措置の対象外となり従前の6倍もの額の課税をされる恐れがあります。

 3.については、人の手が入らなくなると、雑草が生い茂り、ゴミが不法投棄され、害虫等が発生し、また、人が住みついたり、放火の対象となる等、周辺の住環境を阻害し、周辺住民の生命・安全を脅かす恐れがあります。

 では、空き家となってしまった実家を相続した場合や、親御さんが施設に入り実家が長期に渡って空き家になってしまうような場合には、どうしたらよいのでしょうか?

空き家問題についての対策

 こうした問題を生む可能性のある空き家を相続する場合には、その空き家をどうするかを検討する必要があります。大きくは、利活用するか、処分(売却や除却等)するか、それとも、現状のままで維持管理をするか、ということになるかと思います。

 賃貸や売却ならばマッチングサービス、また、処分ならば業者さんへの相談など、それぞれの手立てを講じる必要があります。しかし、いずれにしても、これまで手を着けられなかった空き家についてですから、ご本人で対応しようにも、どこから手を着けてよいものか苦慮される場合が多いのではと思います。

■相談窓口

 そのような場合には、まずは、公的な相談窓口のご利用をお勧めします。東京都の場合、相談窓口は、東京都・専門家団体・各区市町村によるものがそれぞれ用意されています(※こちらをご参照ください)。なお、東京都の相談窓口は、東京都民の方であれば、都外に空き家をお持ちの方であっても相談することが可能です。

■その他の支援制度

 上記相談窓口の他にも、区市町村ごとに様々な支援制度が設けられています。場所によっては、対策のための補助が出るような場合もありますので、ご確認いただければと思います(※こちらをご参照ください)。

■参考情報

 以下、東京都にお住まいの方向けではありますが、ご参考にしていただければと思います。なお、その他の地域にお住まいの場合には、お住まいの地域の自治体HPをご参照になってみてください。

 空き家は、放置する期間が長くなればなるほど、対策が難しくなるとも言われています。まだご自身や親御さんがお元気であっても、お住まいのお家が将来的に空き家になることが想定されるような場合には、ご家族の間で話し合うなどして、早めに事前の対策を検討しておかれることをお勧めします。

行政書士ポラリス法務事務所

代表行政書士・終活カウンセラー  北原 絢子


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