【映画紹介】「ペコロスの母に会いに行く」~家族で楽しみながら、認知症理解にも役立つ映画~

 こんにちは。行政書士ポラリス法務事務所の北原です。

 暖かい日が続いたかと思うと、不意に寒くなったり、寒暖差のある日々が続いています。風邪を引かないように、暖かくして過ごしたいものですね。

 さて、少し前に、「ペコロスの母に会いに行く」という映画を観ました。

 この映画は、漫画家兼ミュージシャン兼元会社員の岡野雄一さん(ペコロス)が、長崎の美しい街を舞台に、認知症のお母さんとの日々を描いた漫画を実写化したものです。認知症をテーマにしながら、ユーモアがあって楽しく、温かみのある映画なので、小さなお子さんも一緒に、家族で楽しんで観ることができます。一緒に観た保育園児のわが子も、途中で飽きることもなく、時に笑いながら楽しんで最後まで観終えることができました。

 認知症は、直近の記憶から遡るようにして記憶が失われていく、と言われています。そして、ご本人は、既に亡くなったご家族がまだお元気だった頃や、お子さんが小さかった頃の記憶を現在と認識して、それを前提に、お話しし、行動されます。おばあさんがお孫さんの顔を見て、「〇〇ちゃん(お子さんの名前など)、大きくなったわねぇ」なんてお話しをされるのは、それが理由だそうです。こうしたご本人の言動のみを見ると、認知症を患っていない側からする理解しがたく、「急に親がおかしなことを言いだした…。」と、心配になってしまいますよね。

 この映画では、岡野さんのお母さんが今現在であると思っている時代に遡って記憶を描くことにより、それを観る側が共有し易い作りになっています。認知症患者の方がなぜそのような言動をするのか、その理由がとても分かり易く作られていて、また、それを理解するご家族も温かくて終始笑いがあって、いいなと感じるところです。

 認知症の患者さんの言動には、全て理由があるとされています。ご家族や周囲の方がその理由を知って、段階をかけて認知症を受け入れることによって、ご本人との接し方は少しずつでも確実に変わり、ご本人もご家族ももう少し穏やかな日々の生活が送れるようになるのではないかな…と、元認知症患者の家族としても思います。

 ご家族の言動に少し変化を感じられた時、また、そうでない方はエンターテインメントとして、ぜひご家族で楽しんでいただければと思います。

行政書士ポラリス法務事務所

代表・認知症サポーター  北原 絢子